新化学反応器「PACT」とは
プラズマが持つパワーを利用して、これまでにない画期的な化学反応器を開発している人物がいると聞き、さっそく開発者のもとを訪れた。 「私が開発した『PACT』は、有害ガスを分解・改質・合成することができ、 この仕組みを利用すれば、CO2削減をはじめとする、様々な環境問題に貢献する装置を製作することができます」 PACT(パクト)とは Plasma(プラズマ)、Assisted(支えられた)、Catalyst(触媒)、Technology(技術) の頭文字をとった言葉だ。 プラズマが持つパワーと、その効果を助長する触媒を共存させた結果、生まれた新技術であると、開発者である林佑二博士は説明してくれた。 とはいっても、化学や工学の知識が乏しい者には分かりにくい話。 そこで、再度話を伺うと 「プラズマというのは、ようは離婚を助ける業者だと思ってください(苦笑)。そして、触媒が再婚業者になります」 なんともユーモアがあり、分かりやすい説明をしてくれた。つまりこういうことだ。 触媒効果を持たせた電極に電圧を与えると、そこにプラズマが発生する。 そのプラズマの中に悪いガス(例えばメタン)を流し込む。すると、プラズマが持つパワーにより、悪いガスは分解・改質・合成どれかの反応を示すそう。ただ、そのままでは再びもとの物質に戻ってしまうため、触媒がすぐに再婚相手(新しい物質)をあてがい、結果良いガスを排出するというのだ。 いうは簡単だが、大気圧でプラズマを生成すること。 ガスにあった触媒を見つけることは容易ではないそうで、氏はこの原理を『PACT』と名付け、特許を取得したのである。
自らの手でプラズマをつくりたい!
氏は富士通(株)で研究者として退職まで勤めあげた人物。そして、在職中にPACTを発明し特許を取得した。だが、富士通といえば、コンピューター関連の業務を行っている企業であり、氏が開発した化学分野の研究に関しては「?」と思うのが一般的だ。ということで、今日に至るまでには苦難の道があったことを話してくれた。 「いつだったかなぁ。ある時、皆既日食を見たんです。あのリングの正体はプラズマでしてね。 いやぁ美しかった。 で、自分でもつくってみたくなったんですよ(笑)」
研究者魂に火が付いた氏は、PACTの開発に没頭、成功する。 だが、企業のトップからは「そんな研究結果は我が社には必要ない」と一蹴されたそう。 だが、そこは大企業。氏のように本業から外れた研究者にも、別枠として研究を続けていくことができる機関を設けていたのだ。 「my way projectというシステムが、当時の研究所にあったんです。 ようは勝手気ままな研究者が集まる場所ですよね(笑)。私はそこでさらにPACTの研究を続けました。 もちろん、私の研究は環境問題に貢献する世界レベルの内容だと思っておりましたから、 ワールドワイドに活躍する富士通が、いつかは私の研究を認めてくれるという思いはありました......」 ――氏の思いはかなう。 3年後、改めて実用化に向けた結果を出した氏を、会社は認めたのだ。 そして、ベンチャー企業を興すという選択肢もあったそう。だが、氏は研究を優先。 米国はコネチカット大学に進み、さらにPACTの研究に精を出していく。
研究者としての思いを貫く~地球号の医者として~
氏がベンチャー企業をすぐに設立しなかったのには理由がある。 それは、 環境問題に貢献した技術者として、後世に名を残したいから―― いやらしく聞こえるかもしれないが、誤解しないでほしい。 氏の本意はこうだ。
「私は自分のことを"地球号の医者"だと名乗っています。 その理由は、PACTの技術を利用すれば、今世界中で起こっている環境問題に貢献できるからです。 例えば、ゴミ捨て場から発生するメタンガスを水素に変えることができます。 水素は石油エネルギーに変わる次世代のエネルギーとして注目が集まっている物質です。 つまり、地球を汚すガスを浄化するだけでなく、有益なガスを同時に生むことができるのです」 氏はこの「循環型」の仕組みこそが、従来の環境問題に貢献する技術よりはるかに進んだものだと強調し、 だからこそ、世界レベルでの技術として広がっていくと考えているのだ。
PACTを世界基準に
氏からもらった名刺には、 前述した「地球号の医者」という肩書きの他に、 丸い外枠の中に、青、赤、緑、白といた4つの色で仕切った目をひくロゴが印刷してある。 「このマークにはね、私の思いのすべてが詰まっているんですよ。 まずは外枠の○。これは地球を意味しています。 そして、 その地球の中に4letters 4colors――。つまり、4つの文字と色が配置してあります。 分かりますか?」
4色は分かった。だが文字は......。きょとんとしている筆者に氏は言葉を続けた。 「私は米国の研究機関でお世話になりました。ですので、その米国に敬意を表し、星条旗の色である赤・青・白を配置したのです。 もちろんこの色は日の丸も意味しています。富士通という会社がなければ、今、こうしてPACTは世に出ていませんからね。 緑は環境のシンボルカラー。 そして、この4色を仕切っている棒線をよぉく見てください。 『 P 』『 A 』『 C 』『 T 』 4つの文字が浮かび上がってきますから」 ――なるほど。 そして氏はこう言葉を締めくくった。 「半導体メーカーインテル(Intel Corporation)が製作しているCPUって、 世界中のパソコンに組み込まれ、 その証として、同社のブランドロゴをデザインしたステッカーがはってありますよね。 私が開発したPACTも、そんなワールドワイドなスタンダードとして、世界中に広まっていってほしい」 氏が話してくれた後世に名を残すとは、こういうことだったのだ。 もちろん、その肩書きには「Doctor for the Earth」の文字がきらりと光っていることだろう。ますますの活躍に期待したい。
新化学反応器「PACT」とは
プラズマが持つパワーを利用して、これまでにない画期的な化学反応器を開発している人物がいると聞き、さっそく開発者のもとを訪れた。
「私が開発した『PACT』は、有害ガスを分解・改質・合成することができ、
この仕組みを利用すれば、CO2削減をはじめとする、様々な環境問題に貢献する装置を製作することができます」
PACT(パクト)とは
Plasma(プラズマ)、Assisted(支えられた)、Catalyst(触媒)、Technology(技術) の頭文字をとった言葉だ。
プラズマが持つパワーと、その効果を助長する触媒を共存させた結果、生まれた新技術であると、開発者である林佑二博士は説明してくれた。
とはいっても、化学や工学の知識が乏しい者には分かりにくい話。
そこで、再度話を伺うと
「プラズマというのは、ようは離婚を助ける業者だと思ってください(苦笑)。そして、触媒が再婚業者になります」
なんともユーモアがあり、分かりやすい説明をしてくれた。つまりこういうことだ。
触媒効果を持たせた電極に電圧を与えると、そこにプラズマが発生する。
そのプラズマの中に悪いガス(例えばメタン)を流し込む。すると、プラズマが持つパワーにより、悪いガスは分解・改質・合成どれかの反応を示すそう。ただ、そのままでは再びもとの物質に戻ってしまうため、触媒がすぐに再婚相手(新しい物質)をあてがい、結果良いガスを排出するというのだ。
いうは簡単だが、大気圧でプラズマを生成すること。
ガスにあった触媒を見つけることは容易ではないそうで、氏はこの原理を『PACT』と名付け、特許を取得したのである。
自らの手でプラズマをつくりたい!
氏は富士通(株)で研究者として退職まで勤めあげた人物。そして、在職中にPACTを発明し特許を取得した。だが、富士通といえば、コンピューター関連の業務を行っている企業であり、氏が開発した化学分野の研究に関しては「?」と思うのが一般的だ。ということで、今日に至るまでには苦難の道があったことを話してくれた。
「いつだったかなぁ。ある時、皆既日食を見たんです。あのリングの正体はプラズマでしてね。
いやぁ美しかった。 で、自分でもつくってみたくなったんですよ(笑)」
研究者魂に火が付いた氏は、PACTの開発に没頭、成功する。
だが、企業のトップからは「そんな研究結果は我が社には必要ない」と一蹴されたそう。
だが、そこは大企業。氏のように本業から外れた研究者にも、別枠として研究を続けていくことができる機関を設けていたのだ。
「my way projectというシステムが、当時の研究所にあったんです。
ようは勝手気ままな研究者が集まる場所ですよね(笑)。私はそこでさらにPACTの研究を続けました。
もちろん、私の研究は環境問題に貢献する世界レベルの内容だと思っておりましたから、
ワールドワイドに活躍する富士通が、いつかは私の研究を認めてくれるという思いはありました......」
――氏の思いはかなう。
3年後、改めて実用化に向けた結果を出した氏を、会社は認めたのだ。
そして、ベンチャー企業を興すという選択肢もあったそう。だが、氏は研究を優先。
米国はコネチカット大学に進み、さらにPACTの研究に精を出していく。
研究者としての思いを貫く~地球号の医者として~
氏がベンチャー企業をすぐに設立しなかったのには理由がある。
それは、
環境問題に貢献した技術者として、後世に名を残したいから――
いやらしく聞こえるかもしれないが、誤解しないでほしい。
氏の本意はこうだ。
「私は自分のことを"地球号の医者"だと名乗っています。
その理由は、PACTの技術を利用すれば、今世界中で起こっている環境問題に貢献できるからです。
例えば、ゴミ捨て場から発生するメタンガスを水素に変えることができます。
水素は石油エネルギーに変わる次世代のエネルギーとして注目が集まっている物質です。
つまり、地球を汚すガスを浄化するだけでなく、有益なガスを同時に生むことができるのです」
氏はこの「循環型」の仕組みこそが、従来の環境問題に貢献する技術よりはるかに進んだものだと強調し、
だからこそ、世界レベルでの技術として広がっていくと考えているのだ。
PACTを世界基準に
氏からもらった名刺には、
前述した「地球号の医者」という肩書きの他に、
丸い外枠の中に、青、赤、緑、白といた4つの色で仕切った目をひくロゴが印刷してある。
「このマークにはね、私の思いのすべてが詰まっているんですよ。
まずは外枠の○。これは地球を意味しています。
そして、
その地球の中に4letters 4colors――。つまり、4つの文字と色が配置してあります。
分かりますか?」
4色は分かった。だが文字は......。きょとんとしている筆者に氏は言葉を続けた。
「私は米国の研究機関でお世話になりました。ですので、その米国に敬意を表し、星条旗の色である赤・青・白を配置したのです。
もちろんこの色は日の丸も意味しています。富士通という会社がなければ、今、こうしてPACTは世に出ていませんからね。
緑は環境のシンボルカラー。
そして、この4色を仕切っている棒線をよぉく見てください。
『 P 』『 A 』『 C 』『 T 』 4つの文字が浮かび上がってきますから」
――なるほど。
そして氏はこう言葉を締めくくった。
「半導体メーカーインテル(Intel Corporation)が製作しているCPUって、
世界中のパソコンに組み込まれ、
その証として、同社のブランドロゴをデザインしたステッカーがはってありますよね。
私が開発したPACTも、そんなワールドワイドなスタンダードとして、世界中に広まっていってほしい」
氏が話してくれた後世に名を残すとは、こういうことだったのだ。
もちろん、その肩書きには「Doctor for the Earth」の文字がきらりと光っていることだろう。ますますの活躍に期待したい。
文章・写真:杉山 忠義
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