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リポビタンD

〜頑張る人を応援し続けて50年「ファイト・一発!」リポビタンD〜
大正製薬株式会社

「ファイト・一発!」
子どもから大人まで、誰もが知っているこのフレーズといえば……
そう、リポビタンDのCMである!

高度経済成長期の真っただ中、1962年に発売されてから半世紀。
現在も国内ドリンク剤のシェア50%以上とトップを独走中のリポビタンDの人気の秘密を探ってみた。

「良薬口に苦し」から「冷たくておいしい薬」の時代へ

戦前より強肝解毒剤「タウリン」の研究を進め、自社製造していた大正製薬。
1960年にこの成分をアンプル剤 (ガラスの小瓶に入った服用薬)として販売すると、徐々に流行の兆しが見られたという。

「それまでの薬は、苦く、飲みにくいと考えられていましたが、大正製薬のアンプル剤は 他社のものと比べて飲みやすいと言われていました。 そこで、故名誉会長上原正吉が『量を増やすことで薬臭さを薄め、さらに味をつけ、 冷やして、うまいものにしたらどうだろうか?』というアイデアを思い付いたのです」 (大正製薬ブランドコミュニケーション部 梅岡さん)

当時は栄養剤といえば、ビタミンB、C、カルシウムなど、個々の栄養成分そのものを飲んでいたそうで、 いろいろな栄養が入った「ドリンク栄養剤」というモノ自体存在しなかったという。
さらに、体調が悪いときには身体を温めるのが常識であったため、 「栄養剤を冷やして飲むなんて!?」と驚かれたそうだ。

まさしく、 リポビタンDの誕生=「飲みやすい栄養ドリンク」という新たな文化の誕生だったのである!

そうして開発されたリポビタンD液を100ml入りのビンに入れて発売するとたちまち注目を集めることに。

「高度経済成長期、モーレツ社員が徹夜で頑張っていた時代の波に乗ったんですね。 価格も150円(現在で1500円位)と高価であったにも関わらず、製造が追いつかないほどの売れ行きとなりました。 同時に、台湾、タイ、シンガポールと、アジア各国にも進出、海外でも人気商品となって行きました」

CGもスタントマンもナシ!? 壮絶CM秘話

また宣伝活動も、リポビタンD発売と同時にスタート。
初年度は巨人軍のエンディ宮本選手を起用したテレビCMを放送、 翌年には当時一世を風靡していた王貞治選手を起用し、知名度はグーンとアップする。

また、キャッチコピーは当初より「ファイト・一発!」だったわけではない。
「ファイトで飲もう!」「ファイトで行こう!」「ヨッ!お疲れさん」「ヤッタ!」という模索期間を経て、 「ファイト・一発!」という名コピーが生まれたという点も面白い。

その後、おなじみのダブルタレントの掛け合い、断崖絶壁や激流など、大自然のなかで格闘する CMの数々が生み出されていった。

「完成されたテレビCMは約30秒ですが、リハーサルでセットを破壊して、また組み立てて、 太陽を待ってと……撮影はまさに1日ががり。また、危険なシーンの撮影にはスタントマンを使わず、 アクションにもCGは使っていません! 出演タレントさんには並外れた運動能力が必要とされるため、事前に必ずアクションのオーディションをしています」

ハラハラドキドキして、最後にホッとさせられる。
そして「やっぱり肉体疲労時の栄養補給にはリポビタンDなのだ〜!」
と強烈なインパクトで迫ってくるリポビタンDのCM。
撮影にも、並々ならぬこだわりがあったのだ。

営業部も全国でファイト!

また、リポビタンDの躍進を陰で支えたのは、総勢900人の営業部。
全国津々浦々の薬局に直接足を運び、売り方の提案をしたり、商品の補充をしたりと、地道な努力を続けてきた。

「例えば、リポビタンDの特長のひとつが、冷やして飲む、という点。 そのためにも、当時の販売店である薬局に冷蔵ストッカーを置いてもらわなくてはならなかったのです。 しかし当時薬局を経営していた薬剤師の方々に『うちは牛乳店とは違う!そんなジュースみたいなものは売れない!』 と言われることも多く、とても苦労したようですね」

また、現場の声を反映させるのも営業部の仕事。
販売店の「たくさんの箱を保管する場所がない」という声を受けて、 ある営業マンが店頭に10本入りのリポビタンDを積み上げたところ、このリポDタワー によって売り上げが倍増。
その後このタワースタイルが全国に広がって行ったというエピソードも残っている。

「結果的に、それまでリポビタンDは外出先で冷えた1本を飲むというスタイルであったのに対し、 10本入りを冷蔵庫で冷やして家族みんなで飲むというスタイルも後押しすることになりました」


店頭の様子

冷蔵ストッカー

リポDタワー

営業マンが直接現場の声を聞き、アイデアを即実践し、全国の営業部に広める。
そういった姿勢もリポビタンDの売り上げアップに貢献しているのだ。

徹底した水の純度へのこだわり

また、忘れてならないのが品質へのこだわり

リポビタンDは医薬品という特性上、タウリンやビタミンといった成分が安定して効き目を発揮するためにも、 非常に純度の高い精製水を使用しなくてはならない。

「日本薬局法では医薬品に使用する精製水について、1t中の不純物は10g以下と厳しく定められています。 しかしリポビタンDに限っては、6つの異なる濾過タンク を通すことでこの不純物を2g以下に抑えています。 コストもかかりますが、それだけ純度の高いものをお届けしたいという願いから、社内の自主規制で、 職人たちが厳重なチェックを行っているのです

液剤を入れる瓶さえもこの精製水で4回も洗浄!
液剤を詰めたら1秒以内に蓋が閉められるのだとか。
さらに、リポビタンDが作られる部屋はアメリカ航空宇宙局(NASA) の基準に準じて作られた、ホコリや菌がほとんどない環境。
この「ほとんどない」とは東京ドームのなかで、1p角のサイコロ1個を見つけるようなもの。
この徹底した衛生管理には脱帽ものである。

味と効き目徹底した販促営業宣伝活動に品質管理
すべてのたゆまぬ努力の結果で、伝説のロングセラーとなったリポビタンD

今までも、そしてこれからも、「ファイト・一発!」と、頑張る人を応援してくれるだろう。

記事:阿部 桃子
写真: 大正製薬株式会社
http://www.taisho.co.jp/

会社概要

会社名 大正製薬株式会社
所在地 〒170-8633
東京都豊島区高田3丁目24番1号
連絡先 TEL:03-3985-1800
(お客様119番室)

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